以前からとても興味深いことが一つあります。それは2歳、親で活躍する会魚たちの生い立ち、歴史です。どこの生まれなのか、当歳の時に研究会で活躍したのか否か。どんな飼い方をしてきたのか。冬眠はしたのかしていないのか。などなど。
それらはもちろん持ち主の企業秘密的な側面もあるでしょう。私もこのブログには書かない企業秘密があると言えばあります。
ですが、このブログはらんちゅう1年目、2年目の方にご愛読いただいている方も多くいらっしゃいます。そんな読者の方々のために私の2歳親魚の事例をいくつかシリーズで紹介したいと思います。裸にはなれないけどビキニ姿になるくらい、の感じで。
今日はこの魚。
25日の楽友会品評大会で親の行司一。魚名は「千頭身」。3歳、メス、18cm。
「千頭身」の由来は当歳時の売り立て会で1000円(くらいの値段)で購入した魚だからです。
その時の記録があります。こちら。
一昨年の8月、葛飾愛魚会の売り立て会で一気に13匹を導入した中の1匹。写真No12番の魚です。ブリーダーは登嶋さん。登嶋さんは日らん全国大会の審査員もされている一流らんちゅう師の方です。葛飾愛魚会の売り立て会では登嶋さんの魚の人気は1,2を争います。
この時の13匹のうち今残っているのは「千頭身」だけです。あとは☆になったものもいれば手放したものもいます。またこの13匹で当歳時に会に出した魚はいません。1匹だけこの翌年の観魚会2歳会で東関脇になった魚がいます。その時の記録がこちら。
この東関脇は当歳時にまぁまぁよかったので冬眠させず冬を越しました。するとサイズアップ。春には15cmを超え、その大きさで押し切るような形でこの2歳会で結果が出ました。
一方「千頭身」は2軍の池で冬眠。2軍池ゆえに雑な冬眠をさせてしまいました。冬眠中同居魚が3割くらい☆になったのですが千頭身は生き残りました。
千頭身を手放さずに残していた理由は一つ。2年前に私の飼育場を見にいらしたスイマー師匠の一言でした。「うーん、そうだねぇ、この魚は4点出す審査員がいるかもしれないね」。その一言がなければ千頭身はどこかで手放していたと思います。
2歳の春、観魚東関脇が大きくなったのでまだ12cmもなかった千頭身も大きくなるのではと思い、2歳の夏は3mの池で飼育しました。するとぐいぐい伸びて最終的には大きさで東関脇を抜いたのです。
これは会用のクオリティになったと思いました。そして2歳の10月にようやく会デビュー。そこで行司3。この時の結果は私の評価予想通り。一応会魚で役魚としての地位を得たのでした。
2年目の冬は冬眠させず、室内温室飼育場で飼いこみました。そして満を持して楽友会品評大会へ。結果は行司一。この位置は4点をつけた審査員の方と3点をつけた審査員の方がいらしたということかと思います。それも含めて納得の結果でした。
この千頭身、おそらくまだまだ大きくなるのではないかとみています。そして何より健康。2軍池で放置していた時に知らないうちにエラ病を経験していたかもしれませんが、という程度で大きな病歴は無し。これまでの2年間、餌はほとんどペレットでした。
この魚は我が家にいるらんちゅうの中で好きな魚ベスト5に入ります。洗面器の真ん中そスーッと泳げます。ボディバランスが整っています。深い専門知識を持って見れば一流の魚ではありませんが一般受けという点では秀逸です。4歳、5歳まで持っていければもうちょっとステップアップするチャンスもあるかもしれません。手放すことはせず死なない限り一軍扱いで飼育を続けたいと思います。