これほど娯楽が多様化し変化を遂げた昭和~令和の時代において多くの会が50年、100年と続いているらんちゅう会。「なんやかんや言っても底力はあるから大丈夫でしょ」と私も思ってはいました。しかしどうやらそうもいかない状況になっているのではないでしょうか。
昨年の12月にも記事にした上の表。関東近郊のらんちゅう会はコロナ前と比べ3割前後の会員が減少しています。これに伴い、二つの大きな課題が浮き彫りになっています。
1.財政のひっ迫
会員3割の減少は当然に収入の減少と直結します。では支出が3割減るかというとそうではありません。会場費や倉庫代などは会員の数に関わらず定額で発生する固定費だからです。また、出来れば毎年黒字にして繰越金を30万円から50万円くらいは保持しなくてはなりません。大会を開催する際には商品代、会場費等で30万円くらいの支出と収入が発生しますが、支出は大会前日以前に発生し、収入は大会当日です。会に現金がないと誰か個人から何十万円もの短期借入が一時的に必要になってしまうのです。
2.品評大会の崩壊
最も危機的な状況は親魚の出陳魚数の減少です。昨年はあの観魚会ですら親魚の出陳はたったの18匹でした。最も少ない会は何と4匹。出陳=優等=役魚料の支払いという構造は出陳魚数の減少に拍車をかけてしまいます。そんな状況に未来はありません。小役まで役魚料を支払う会は特に危険です。2歳魚ですら出陳=小役以上確定=役魚料支払い確定となるわけです。
私の所属会のうちいくつかの会では1月末から2月初めにかけて総会があります。大体どの会でもそこで行われる会計報告はさらっと進んでいきます。どの会も健康体だったかつてはそれでよかったと思います。しかし今は治療が必須という会は多いと思います。中には集中治療室で治療しなければヤバいでしょ、という会もあります。総会に参加される方は危機感をもって会計報告に向き合い、意見交換をされることをおすすめします。
さてそんな中、現実的な解決策はどこにあるのでしょう。
まずらんちゅう人口そのものは減少には歯止めがかからないと言わざるを得ません。らんちゅう歴一年目の新人会員などは年に1人いれば御の字。一方引退してしまう人は絶対にそれより多いでしょう。
新人が少なくなっている原因は金魚の市場がメダカに侵食されていることが大きいと思います。メダカ人気の上昇は2004年の楊貴妃の誕生が起点になっています。なので2003年以前とは全く状況が異なるのです。基本的にはまず金魚が好きになってその延長線上でらんちゅうにたどり着く人が多いです。したがって金魚市場が縮小するとそこも縮小してしまう事は必至と言わざるを得ません。
では対策として何をしなければいけないのか。
短期的応急的対策は、らんちゅう愛好家の方がこれまで以上に複数の会を掛け持ち参加すること、そこを促していくしかありません。私は今、5つの会を掛け持ち参加しています。極端な話、皆さんが私と同じ行動をしたとすれば一時的にはまたどの会も盛り上がります。
会費の値上げで財政を整えても意味がありません。大会の出陳魚数が少ないともう会としての体裁をなしません。だから何よりも人数なのです。本籍を置く維持会員+掛け持ち会員で最低でも35人位くらいは欲しいところです。これを割ったら会として健康体ではないと言えると思います。
しかしそれは応急処置にしかなりまえません。いわゆる東部本部登録会員をこれ以上減らさないようにしないと消滅する会の発生は避けられないでしょう。
特に今世紀に入ってからの変化は大きくは二つ。
一つは前述したメダカブームの発生、そしてもう一つはインターネットの登場と普及です。
アントニオ猪木の風車の理論のごとく、これららんちゅう界へ吹く逆風をエネルギーに変えるのです。
それは「メダカ人気にあえて乗っかってらんちゅう愛好家を増やすこと」と「インターネット関連サービスの有効活用」です。
私は堀切めだかというメダカ屋を経営しています。実はここにメダカを買いにいらしたお客様をこれまで二人、らんちゅうの魅力へ誘導し、楽友らんちう会の会員にしました。また、子供達には毎年黒子を多数販売しています。「昔さ、堀切めだかってところで黒子を買ってさ、それでらんちゅうに興味を持ったんだよ」って50年後に酒を飲んでいるおっさんがいるかと思います。
そしてインターネット関連サービスの有効活用の話。これは近々明らかになると思いますが、昨年から今年にかけて関東ではいくつかの新しいらんちゅう会が誕生しています。そのうちのある会はchatgptというインターネット上にある人工知能サービスを使って会則を作ったのだそうです。素晴らしいことです。その会は今後らんちゅう会の近代化のモデルとなり、業界全体を牽引してくれると期待しています。
またLINEグループを上手に活用してコミュニケーションをとっているらんちゅう会も増えてきました。例えば研究会や大会はその参加が事前予約制でないためにお弁当を多めに用意する、というケースが多いです。LINEなどを活用して明日は誰が魚を何匹持って参加するのか、という事が事前に共有できるとお弁当のロスをなくしたりもできますし、「あの人が来るなら参加しよう」みたいな形で参加促進もできると思います。
私は今58歳。72歳くらいの時に所属している楽友らんちう会が100回大会を迎える予定です。まずは「益々発展を続けている」という状態で楽友らんちう会第100回大会を迎える、ということが我々世代の責任と考えています。自分の成績も大事ですがそれよりも優先して会の発展に尽力したいと思っています。
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